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井奥加奈
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応用科学(ものづくり、暮らし、あそび、エネルギー、環境、防災など)
教材の形式
トピックス、発展的学習
研修、講座、授業
科学クラブなど(小中高)
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【学校教員向け】たかがでんぷん、されどでんぷん

【でんぷん】とは、多糖類の一種で、D-グルコースの重合体です。

理科では、でんぷんを植物のエネルギー源として履修します。ヨウ素溶液に反応して青紫色になると記載されているのですが、実は必ずしも「青紫」になるとは限りません。

主なでんぷんにはアミロースアミロペクチンがあり、アミロース含有量によってヨウ素溶液に反応する色が変わります。アミロースが多いと「青紫色」ほとんどない場合は「赤紫色」になります。「赤紫色」は、でんぷん濃度が高い場合などのように、場合によっては「茶褐色」に見えることもあります。同様に、青紫色も「黒褐色」とか「黒紫色」、「青色」などと表現するヒトがいるかもしれません。

表1のように植物によって生合成されるでんぷんの「アミロース」と「アミロペクチン」の組成比は異なります。
アミロース・アミロペクチンの組成が変われば粘度などの性質も変わります。
ヨウ素溶液で染めると光学顕微鏡でも見やすいです(染めなくても見えます)。
加熱しても不透明なでんぷんと加熱すると透明になるでんぷんがあるのは「種実でんぷん」「根茎でんぷん」の違いによるものです。日本ではでんぷんをうまく活用していろいろな和菓子や料理を作っています。

表1 食品として用いられるでんぷん

でんぷんのいろいろ

グルコース

これはグルコースです。粉末をシャーレにのせて、ヨウ素溶液を滴下しました
が、紫のような色になりません。ヨウ素溶液の色のままです。

ヨウ素反応(赤紫)

左の白玉粉は「もち米」なので、ヨウ素溶液を入れると赤紫色になります。
上新粉は「うるち米」ですから、青紫ですが、一日置くとこんな感じになりま
す。上新粉や小麦粉は「でんぷん」ではないからかもしれません。
上新粉や小麦粉は青紫になります。

いったん加熱して糊化させると発色が均一になり、よくわかります。

ヨウ素反応(青紫)

ヨウ素反応(粉末)

粉末でも呈色しますが、右側の画像のように、どうしても色合いがばらつき、観察者によっていろいろな「色」を発言する可能性があります。

左のように、0.5-1%程度の水溶液を調製し、加熱して均一にしてやると、色はきれいに出るので、「色」もばらつかないと思います。

実験する場合は、「可溶性でんぷん※」を用いると、色も青紫(青)で、あくまで理科実験のなかの話になります。
重合度が少し低いので、青紫というより青に近いかも。粉末にヨウ素溶液を滴下するような乱暴な?ことをすると
片栗粉(じゃがいもでんぷん)と変わらないように見えますね。

 ※可溶性でんぷん:でんぷんを酸などで加水分解して重合度を低くし、溶解しやすくしたもの。アミロデキストリン。

「生活に身近な理科」を目指すなら、スーパーで市販されている「でんぷん」を活用するといいかもしれません。
「片栗粉」や「わらび餅粉」など、「穀類粉末」(もち粉、上新粉など)ではなく「でんぷん」を使ってください。
穀類粉末だと場合によっては赤紫になるものがあるからです。食品成分表示をみて確認してください。



=====<家庭科クラブでも科学クラブでも「わらび餅」>=====

「わらびもち」は、子どもたちにとってわかりやすい「和菓子」ですから、食文化に触れることもできます。

  ・・・もともと「わらび」(山菜の一種)の根から採取したでんぷんで作ったおモチ。


実際に作る工程も楽しいです。今まで白濁していた溶液がみるみるうちに透明になり、かたーく変化していきます。
お砂糖を少しおとせば、砂糖の保水性により、やわらかくて甘い「わらび餅」のかたまりができます。

できた半透明のわらびもち(加熱してるので高温です)を直接手などにつけるととりにくいです。
できあがったら、ぬらしたしゃもじなどで水をためたボウルのなかに移してください。


科学クラブでは、水中に不織紙(三角コーナー用)を沈め、そのなかでサツマイモをすりおろしてでんぷんを採取し、
わらび餅を作ってみてはいかがでしょう。

さつまいもの炭水化物は食品成分表2010によると31.5%くらい。
でんぷんの必要量に応じていもの量も変わります。
計算する時は、とりあえず、炭水化物が100%でんぷんだと仮定してみると良いと思います。

15%~20%くらいのでんぷん濃度の溶液を加熱すると「かたまり」になります。砂糖を入れるなら
でんぷん濃度を30%くらいに上げても大丈夫でしょう。

最初にボウルの重さを量ります。
次に水中に沈めた袋のなかをめがけて(?)さつまいもをすりおろします。
ボウルの水がだんだん白濁してきます。
一部を採取してヨウ素反応ででんぷんの存在を確認してください。
白濁した水をしばらく放置すると、でんぷんは沈んできます。
うまく上澄みを捨てて、重さを量り、ボウルの重さをひきましょう。
何グラムぐらい、採取できましたか。水分があるのででんぷん量は正確ではありません。
必要なら、乾燥させてください。ここで、サンプルとして採取し、顕微鏡で形状を観察してもいいですね。
顕微鏡観察は、水分を含んだでんぷんでもできます。
わらび餅を作るには、新たに水を加えて加熱してください。

【注意】 さつまいもにはポリフェノール酸化酵素がありますから,すりおろしたものを
放置すると真っ黒(黒紫色?)になるかも・・・ご注意ください。
そのでんぷんを使って、大根の汁を加え、保温しておけば、
大根汁のジアスターゼで水あめを作ることもできます。
大根くささは、最後に加熱すればとれると思います。
ヨウ素反応ででんぷんの分解の様子を調べておきましょう。
ジアスターゼもヒト唾液アミラーゼも、でんぷんに対する作用は同じですから、
ヒト口腔内のでんぷん消化モデルにもなります。
ご飯を100回かむと甘味が出てくる・・・あれです。

家庭科クラブでは、市販のわらび餅粉で、青のりだの食紅だの、入れるものを工夫することで「オリジナルわらび餅」
に挑戦してみてはいかがでしょう。片栗粉でもわらび餅に似たおもちができます。でんぷんではありませんが、
上新粉や白玉粉、もち粉、などの粉を使った団子もおいしいです。あんこやカスタードクリーム、トッピングを工夫
させてみてください。北海道の「いももち」もジャガイモでんぷんをうまく活用した郷土料理ですね。


市販されていないでんぷんに挑戦!ということなら、れんこんが採取しやすいと思います。
すりおろし器で、手まですりおろさないように注意してください。


れんこんでんぷんは、どんなヨウ素反応を示すでしょう??