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担当者
生田享介
問い合わせ先
ikuta@cc.osaka-kyoiku.ac.jp
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小学校5年理科で使う生物顕微鏡、意外に知られていない使い方の注意
領域
基礎科学(教科の基礎、発展的学習)
教材の形式
実験・実習, 授業のヒント
研修、講座、授業
教員研修(小中高) 学校授業(小中高)
教科、科目

【学校教員向け】顕微鏡を正しく使おう

小5理科で扱われる顕微鏡には
 
解剖顕微鏡
双眼実体顕微鏡
そして教科書には単に「顕微鏡」と書かれていますがここでは
生物顕微鏡
と呼ぶ、3種類の光学顕微鏡があります。
前二者は「高級な虫眼鏡」として
比較的手軽に使うことができるのに対し、
生物顕微鏡ではその性能を引き出すため、
また安全に使うためにいくつか注意する点が挙げられます。
 
ここではひとつぜひ理解してもらいたいことがあります。

生物顕微鏡の使い方として教科書の説明では、

 

 

1.接眼レンズを覗きながら反射鏡を動かして,明るく見えるようにする.
2.プレパラートを載せ台に置き,クリップで留める.
3.横から見ながら調節ねじを回して,対物レンズとプレパラートをすれすれまで近づける.
4.接眼レンズを覗きながら,調節ねじを3.と逆に回して,対物レンズとプレパラートの間を離していき,はっきり見えるところで止める. 
 
となっています.
ところが,このやり方だと思わぬ失敗を招く場合があり,
間違った方法だと言わざるを得ません。どこがダメなのかと言うと,手順の3.と4.です。
正しくは
  
1.接眼レンズを覗きながら反射鏡を動かして,明るく見えるようにする.
2.プレパラートを載せ台に置き,クリップで留める.
3.4倍または10倍の低倍率の対物レンズを光路に入れピントを合わせる.
4.次に倍率を上げるときには,低倍でピントの合った状態のままレボルバーを回し,高倍率の対物レンズを光路に入れ,ピントの微調整をする.

  

 となります。

何がいけなかったのか、それは
「対物レンズとプレパラートをすれすれまで近づける」
という操作です。なぜならば、40倍や100倍といった高倍率の対物レンズでは,
ピントが合った状態での対物レンズ先端とプレパラートとの距離(作動距離)が1mm以下しかないため
「すれすれまで近づけること」は不可能だからです.

意外と知られていませんが,実は

対物レンズはどの倍率でもピントの合う位置、つまりステージ(もしくは鏡筒)の高さは同じ

です.
高倍率になるほどレンズ本体が長くなるため作動距離が短くなることになります。
4倍や10倍の低倍率の対物レンズでは作動距離が十分に確保されているため、
プレパラートをいっぱいに近づけても決してレンズに当たることはありません。
したがって
まずは低倍率の対物レンズでピントを合わせてから、
そのままプレパラートの位置(高さ)を変えないで
次の倍率のレンズをセットしピントを微調整する。
これを順次行うのが正しいやり方です.
教科書のやり方は、
対物レンズにプレパラートをぶつけないように注意している点では
間違ってはいないのですが、
これはあくまで低倍率の対物レンズの場合にのみ使える方法です。
しかしながら
この「正しい操作法」を小学校5年生の児童に説明し理解してもらうのは
実際にはとても難しいかもしれませんので、
高倍率の対物レンズは使わないようにする(外してしまう)ことにしておくのが
現実的だと思われます。