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担当者
井奥 加奈
問い合わせ先
ioku@cc.osaka-kyoiku.ac.jp
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領域
基礎科学(教科の基礎、発展的学習)
教材の形式
実験・実習
研修、講座、授業
学校授業(小中高)
教科、科目

【生活と化学】水溶液の性質

私たちが日ごろ食べている食品にも「酸性」や「アルカリ性」のものがある。
身体がたんぱく質で構成されているのでたんぱく質によくない影響を及ぼすアルカリ性の食品は限られる。
また、その場合「あく抜き」と称して、一度ゆでたり塩もみしたりなどすることもある。
※アルカリ性の食品:食品化学的に酸性・アルカリ性というと意味が異なるので注意。

11月以降、紫キャベツが入手可能な時期(秋から冬にかけて)なら、紫キャベツを指示薬に使うのも良い。
ただし、一般家庭で頻繁に用いられる食品ではないので、流通量が少ない
使いたいと思う一週間前くらいにスーパーに予約するか百貨店に行くなどすると確実に入手できる。
【注意】類似の食品にトレビスがあるが、トレビスは使いにくいので注意。
※トレビスは紫キャベツ(アブラナ科)とちがいキク科キクニガナ属の植物で、チコリの仲間。葉が薄くて苦味がある。
実際にチャレンジしてみましたが、すりおろすのは無理なようでした。(煮出し汁は調製していません)
予備実験を必ず行って確認してください。

【紫キャベツを用いた指示薬調製法】
(1) おろし汁を用いる方法

 子どもたちに指示薬を調製させたい場合、おろし金の数がそろうなら(家庭科室などから借りてきても良い)ビーカーの上にガーゼを置き、紫キャベツをすりおろして汁を絞るとてっとり早く指示薬ができる。あらかじめ教員がすりおろして絞っても調製可能。下図のように、多少キャベツかすが指示薬に混入して沈殿するが色を判別するのに影響しない。その他には、生葉をすりおろすので酵素なども搾汁液に混在しているが、これらもほとんど影響しない。【注意】おろし金で自分の手をおろしてしまわないように配慮すること。(おろし金による擦り傷は痛い)

(2) 煮汁を用いる方法

 前日などに、教員がまとめて指示薬を調製したい場合、煮汁を調製すると簡便である。紫キャベツを適当に切り、キャベツの3-10倍量の純水を加えて火にかけ、沸騰したら弱火にして、2-5分程度煎じるように色素を抽出する。ビーカーで調製する場合は、ヒビやカケのないビーカーを使って加熱する。沸騰石は入れなくても良い。煎じた後は、キャベツを箸などで取り出すか、ガーゼでこしとる。キャベツかすや酵素の混在がないので使いやすいが、pHは液温に影響されるので必ず室温にした溶液を使うようにする。直前に調製した場合、直接火にかけた熱いビーカーを氷水で急冷しない(ガラスにヒビが入る可能性が高い)。

【実験結果】※ディスプレイによってはフラッシュ撮影が実際の色に近い場合があります。

フラッシュなし撮影(やや青みがかっている) フラッシュ撮影したもの(実際の色に近い)

指示薬の色の違いは

濃度によるもので、実

際にはほぼ同じ。

多少おろし汁は濁る。

底にキャベツかすが沈

殿する。

市販こんにゃくのつけ

汁には、(Ca)OH2が

含まれているのでアル

カリ性やや青くなる。

NaOHでは緑色っぽく

なる。

レモン汁は酸性なので

赤っぽくなる。中央は

塩酸で酸性にした液。

バナナやオレンジジュ

ースも酸性を示す。

【問題】

ハイビスカスティーは

元の液も赤くて、指示

薬を加えても紫に赤が

加わっただけ・・・?

なぜだろう??

【答え】

ハイビスカスティーを

飲んでみると「酸っぱ

い」ことが分かる。

つまり、ハイビスカス

ティーも指示薬だった

のだ!

左は中華めんの「かん水」に紫キャベツ色素が反応して、緑色の焼きそば

にしたところ。色はものすごい色になるが味は「キャベツ」で、ごく普通。

レモン汁をたらして赤くすることもできるが、味は・・・。

中華めんの食品表示に「かん水」と表記してあるものは左のようになる。

おろし汁をまぶし入れるとより緑色に。

「ブルーマロウ」について
アントシアニンが不安定な構造をしているようで、水道水をわかしてビーカーに入れ、乾燥ブルーマロウを2-3個入れてガラス棒でかき回すとみるみるうちに色が変化する。水道水中の塩素イオンなどに反応した可能性も高い。 同じ作業を純水もしくは超純水で行うとあまり色が変化しないので、指示薬として使いたい場合は純水や超純水での熱水抽出が良いが、それでも不安定である。必ず予備実験を行って確認すること。ハーブティーのショップなどで一般的に販売されている。

「ハイビスカスティー」について
上記の画像をみてわかるように、ハイビスカスティーもpHによって色が変わるが、紫キャベツのようにキレイに?色が変わらない。ハイビスカスのアントシアニンはデルフィニジン系のアントシアニンで、紫キャベツとはグループが異なるので色の変わり方も異なる。熱水抽出によりクエン酸などが一緒に抽出されるので、酸味のあるティーになる。

焼きそばのほかに・・
焼きそば以外には、蒸しパンに重曹(アルカリ性:重炭酸ナトリウム)やベーキングパウダー(水と反応すると炭酸ガスを発生するが、即時性のものと遅延するものが配合されている)を入れて、指示薬を入れて蒸したり、白玉粉で団子を作って三色に染めたりすることができる。卵白がアルカリ性を示すので、ケーキを焼く時にアントシアニンを用いると変な色のケーキになることもある。そういう時は、食べてもおいしいように色素材料と液性を工夫する必要がある。実際には、「梅干し」(赤じそのアントシアニンを梅漬けの酸性で赤くしている)に利用されている。
家庭科と連携して鮮やかな色のおやつを作るのも良い。


食品とアントシアニン

アントシアニンが含まれる食品 ナス・ブドウの果皮 (ブドウは巨峰のように大粒の濃い紫のものが使いやすい)、黒豆、赤じそ(梅干しの赤じそ含む。梅干しは染まっているだけで色素を含有していない)、ブ ルーベリーなどのベリー類、カシス、ざくろ、いちご、ハイビスカスティー、ローズヒップティー、ブルーマロウティー、紅たで、赤玉ねぎ、紫(赤)キャベ ツ、さつまいもの皮、紫いも、紫アスパラガス、レタス類、トレビスなど。  

指示薬としては、使いやすいものと使いにくいものがある。色素は微量で色を呈するので、「赤紫」くらいではうまく色素が出ないことも多く、「濃い紫」「紫」あたりが使いやすい。あと、乾燥食品は保存可能で扱いやすく、ハーブティーは飲むこともできる

赤いけどアントシアニンではない食品 すいか、トマト、すもも、赤とうがらし、赤ピーマン(カロテノイド)、紅麹(モナスカス:豆腐ようの赤色)、ビーツ、ホウレンソウの株の赤色(ベタライン)

赤ければアントシアニンというわけではない。

いずれの食品も、上項の食品とはちょっと「赤さ加減」が違いますよね?

食品ではないがアントシアニン色素を含む アサガオ、スイートピーなど、多くの花の花びら。ドライフラワーの材料にはバラやラベンダーのようにアントシアニンを含む花を乾燥させたものがある。花びらだけでなく、果実や葉、茎、根にもアントシアニンを含むものはたくさんある。アジサイの花びらもアントシアニンで、土壌のpHにより花色を変えます。 ドライフラワーの材料は、入手して冷凍保存できるし熱水抽出で色素を抽出しやすいので、ハーブティー同様扱いやすいが、食品ではないので注意すること。

言葉の定義

アントシアニン: アントシアニジンの配糖体。アグリコンがアントシアニジン

アントシアン:アントシアニンやら、アントシアニジンやらの総称。アントシアニンより大きなグループ名。

アントシアニンのグループ名として、ペラルゴニジン、デルフィニジン、シアニジン、ペオニジン、ペツニジン、マルビジンの計6種類があるが、最初の3つが主なグループである。それぞれの植物で生合成経路がやや異なり、植物の「科」や「属」が同じ食品は似た生合成経路を持ち、似たようなアントシアニンが含まれている。なお、アントシアニンはフラボノイドの1グループ名で、フラボノイドの基本構造であるフラバン骨格を持つ。アントシアニンの場合、特に、フラン環の酸素がオキソニウムイオンになっていることが特徴で、フラビリウム構造(2-フェニルベンゾビリリウム)になっている。

紫きゃべつ:主なアントシアニンはシアニジン系のアントシアニンで、pH3.5以下だと安定。クロマトグラフィー用などで抽出したい場合は弱酸性で抽出する。

天然色素として食品に用いられるのは、赤じそ、紫きゃべつ、赤だいこん、紫いも、ぶどう果皮など。主たるアントシアニンがシアニジン系だとアルカリ性できれいな青になるので、わかりやすい。紫きゃべつ(赤きゃべつ)だけでなく、紫いももシアニジン系のアントシアニンが主成分ですからアルカリ性で青くなる。ぶどう果皮はマルビジン系でアルカリ性で青緑になり、赤だいこんのようにペラルゴニジン系だとアルカリ性で紫になる。シソニンはシアニジン配糖体の一種ですが、中性で薄い赤色になり、アルカリ性では褐色になる。植物によって、糖の種類・数やアシル基など置換基の数、共存物質が異なるアントシアニンが含まれているため、色合いは同じようにならない。同じ色合いでも濃度によって見え方が異なり、あまり濃いと見にくい場合が多い。必ず予備実験で確認すること。アントシアニンやクロロフィルは光増感反応による太陽電池作成にも用いられる。

アントシアニンは、シリカゲルの薄層クロマトグラフィーできれいに分けることができる。UVランプを使わなくても紫系の色素ですから分離状況がわかりやすく、クロマトグラフィーの教材として使いやすい。炭酸カルシウムを使うなら、クロロフィルの方が分離しやすい。