試薬の扱い

試薬には、

 1) 室温保存するもの、冷蔵(4℃)保存するもの、冷凍(-20℃)保存するもの、があります。
   -80℃で保存する試薬もありますが、このような試薬を使う場合はスーパーフリーザーが必要です。
   保存条件は、ラベルに記載してあるので確認しておきましょう。ラベルに保存温度の記載がないものは、
   室温保存と考えても良いでしょう。保存温度は、試薬の品質に大きく影響します。

 2) 保存条件のなかには、湿度を嫌うもの(潮解性・吸湿性のあるものなど)や光(紫外線)
   を嫌うものもあります。
保存温度さえクリアすればよいというものではありません。湿度を嫌う試薬は
   冷凍庫やデシケーター、ドライキャビネットなどに保存します。
   ふたのところにフィルムなどを巻く人もいます。試薬にもよると思いますが、効果があれば、それもあり。

 3) 試薬には、「引火性」「腐食性」「毒性」「猛毒性」というように、有害・危険な試薬もあります。
   マークをみて理解できるように覚えてください。 【参考】 職場のあんぜんサイト(GHS):厚労省

実際にラベルを確認していきましょう。MSDSも必要に応じて確認してください。

【弱酸】 酢酸のラベル  ※純度が高い酢酸(試薬特級)は冬に凍るので氷酢酸とも言われます。

引火性腐食性のマークがみえますね。
引火性のある溶媒を使う部屋は、火気厳禁です。酢酸の引火点は39℃です。ちなみに酢酸の沸点は118℃で水より高いので、蒸発はしにくいです。おまけに腐食性です。これは、化学やけどを起こす物質であることを示唆しています。触れると熱くも感じるでしょうが、皮膚のなかに入り込んで内部に壊疽(えそ)を起こします。つまり、ちょっと酢酸の原液が飛散したままほっとくといつまでも残って、そこに触れたたヒトの皮膚をやけどさせてしまうのです。

こぼしたら即座にぬれ雑巾で拭きとりましょう。危険物試薬のラベルはぼろぼろにしないよう注意してください。
試薬を注ぐときは「ラベルを上に」!!!

【強酸】 硫酸(純度97%)

これは、腐食性と毒性のラベルがあります。おまけに医薬用外劇物。硫酸の場合、10%をこえると医薬用外劇物扱いになるようです。原液を扱う時は保護メガネ・手袋・白衣の着用を確認し、使用後は必ず手を洗って実験台を拭きましょう。危険ですが必要不可欠な試薬です。硫酸も原液はもちろん、希硫酸でもこぼしたら必ずぬれ雑巾でよく拭きとってください。沸点がとても高くて(290℃)そう簡単には蒸発しないからです。

あと、試薬ビンのなかにほこりや紙、虫?などの有機物を入れないように、小分けしたものを使用してください。試薬ビンのなかで有機物が炭化して、ビン中の硫酸全体が汚染されてしまいます。

【強酸】塩酸(特級塩酸で、37%程度塩化水素が溶解している水溶液)

塩酸はマークもたくさんあります。【猛毒性】【腐食性】【健康有害性】【水生環境有害性】塩化水素がハロゲンですから、ふたを開けてもあ~っと出てくる気体(塩化水素)を吸い込んではいけません。有毒です。必ずドラフトのなかで排気しながらふたを開け、採取・作業してください。腐食性があるので保護メガネ、手袋もつけて作業してください。酢酸や硫酸と同じように、小分けにしてそれらを使うほうが、何かあった時に役に立ちます。例えば、(1)こぼした時も、小分けしたものなら少しですが、3Lビンなんか倒してこぼしたら、大惨事になること間違いなし。(2)別の試薬などで汚染された時も小分けだけの汚染ですみます。これも3Lビン全体を汚染されると、その使い道に困ると思います。汚染された塩酸を処分するのに中和するだけでも大変です。

【強アルカリ】 水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)

水酸化ナトリウムには【潮解性がありますから、粒状で販売されます。潮解性は必ず 調べて覚えてください。他にも潮解性のある試薬がありますよ。

水酸化ナトリウムも医薬用外劇物で、腐食性や毒性があります。GHS絵表示は硫酸と同じで す。動植物の組織に対して強い腐食性がある性質を「苛性(かせい)」、ナトリウムはソーダというので、苛性ソーダといいます。油脂をケン化して石けんを作 る時は、水酸化ナトリウムを使う場合もありますが、劇物なので注意してください。

腐食性がある試薬を扱う時は、知らずに微粉末を吸い込んだり、手に付 けたりすると非常に危険ですから、細心の注意が必要です。

塩基性物質にはほかにどのようなものがあるか知っていますか?

【有機溶媒】アセトン

アセトンは【引火性】【有害性】になっています。ネイルの除光液に含まれる有機溶媒(最近はノンアセトンタイプもあります)で、沸点が低く、皮膚につくと、すぐに気化して皮膚表面の熱を奪い、すうっとヒンヤリした感触になります。また、たんぱく質の変性を起こすので、皮膚につくと皮膚が白くなります。有機溶媒はあぶらをよく溶かすもので、脱脂もされてシワシワ・・・。そうなった時には実験終了後にハンドクリームを塗りこんでください。尿素入りのクリームもOK。なるべく涼しい場所に保管、と記載してあるのは、沸点が低いからで、アセトンの沸点は56℃です。ジエチルエーテルのような低沸点溶媒は冷蔵庫に保管することもあります。ジエチルエーテルはエーテルとも呼ばれます。遮光保存ですから、褐色ビンで、棚の下などの保存が良さそうですね。

ちなみに、凝固点が高いものは室温に放置しても凍って固体になることがあります。酢酸やジメチルスルホキサイド(DMSO)などです。完全に溶解させてから使いましょう。

【色素】インジゴカルミン(ネイビーの色をした色素)

【遮光保存】になっています。

こういう試薬は紫外線をカットするような茶色いビンに入っているものです が、さらに冷暗所に保存したりアルミ箔を巻きつけたりして保存することが多いです。下記のアスコルビン酸と比べると温度表記はありませんね。よって、これ は室温保存でも良いわけです。ラベルが変色しているのは古いからです。試薬管理簿に、購入年を書いておくといいかもしれません。試薬によって使用期限のあるものとないものがあります。

色素は服や皮膚に付くと取れにくいことがあるので注意しましょう。

【ビタミン】アスコルビン酸(ビタミンC) ※標準品は純度の高い試薬を意味しています。

アスコルビン酸も【遮光保存】になっていますが、2-10℃とも書かれていますね。つまり、冷蔵庫で遮光保存してく ださい、ということです。冷蔵庫で遮光して保存しないと酸化されて茶色くなっちゃうのです。

他にも室温保存で良いとはいえ、酸化されやすいので自主的に冷蔵庫や冷凍庫の保存がいいかも、というような試薬はあります。

冷蔵庫は、通常ランプがついていません。ドアをあけるとランプが点灯します。爆発性溶媒や発火性溶媒など、 危険な溶媒や自己反応性の溶液などを低温保存したい時には、ランプが点灯する一般的な冷蔵庫ではダメで、【防爆型】冷蔵庫に保存します。

 4) 試薬には、わざわざ試薬メーカーから購入しなくても十分代用できる純度のものが一般に市販されているものもあります。 化学物質は身の回りのなかにもたくさんあります。それだけ化学が身近なものである、ということです。

試薬名 一般名
シュクロース(スクロース、ショ糖) グラニュー糖(砂糖の売り場にある)  ※ 結晶化したものは「氷砂糖」
グルコース ぶどう糖(キャンディや飴売り場にある)

でんぷん(スターチ) 

片栗粉(じゃがいもでんぷん)、コーンスターチ(とうもろこしでんぷん)

 【注意】可溶性でんぷんではありませんから溶解させても透明にはなりません。

炭酸水素ナトリウム

重曹(食品添加物、製菓材料売り場など)  重炭酸ナトリウムとも言われるので、

ナトリウムの別名「曹達(ソーダ)」から、「重曹」と略されているようです。

クエン酸

クエン酸(製菓材料売り場にあることが多い)  酸味料

最近は掃除の洗剤がわりやポットの洗浄などに使われることもあります。

過酸化水素水

オキシドール・オキシフル(約3%の過酸化水素水)

試薬だと強いものもあります。

ポピドンヨードの水溶液
(ヨウ素反応を確認する)

うがい薬(1-ビニル-2-ピロリドン重合物とヨウ素の複合体(ポピドンヨード)を10%

前後含む水溶液) ※ 常法通りヨウ素溶液を調製する方が反応は鋭敏です。

塩化ナトリウム

精製塩、食塩  ※「食塩」「精製塩」以外の塩はうま味物質などが混ざっている場合

もあります。表示を確認してください。

グルタミン酸ナトリウム

うまみ調味料(味の素社の「味の素」)  

※ グルタミン酸(カルボン酸)やグルタミンとは別物質です。 うまみ調味料は、

  イノシン酸や核酸系で構成されている場合もあり、グルタミン酸ナトリウムばかり

  ではありません。食品表示を確認してください。

酒石酸水素カリウム

クリームオブターター(大きな製菓材料の売り場にある)

卵白などの泡立ちを良くするために使う改良剤で、商品名はいろいろです。


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