酸と塩基の扱い

酸やアルカリの水溶液は児童生徒に使用させる目的で教員が調製することもあります。いずれも危険物ですから、安全に取り扱ってください。

【溶液の調製】

酸やアルカリの水溶液を調製する(=作る)場合は、発熱反応を伴うことが多いので、ガラス棒などでかき混ぜながら試薬を水に少しずつ加えます。ビーカーにあらかじめ水を入れるのです。洗いこむ必要がある場合は、希釈するべき水の量の一部でかまいません。濃硫酸は急激に発熱する場合がありますから注意が必要です。

【動画で確認】濃硫酸が紙を炭化させるところ

危険物である場合は、ラベルを確認してください。

【準備】

身支度(髪の毛を束ねる 白衣を着用する)  保護メガネをする(コンタクトを眼鏡に変えるのもOK。さらに上から保護メガネをつける)  手袋をはめる  ドラフトチャンバーを活用する  作業内容を理解し、準備物をすべてそろえる

【廃液】

酸やアルカリの場合は、濃いものなら中和して大量の水とともに実験排水に捨てます。希薄な溶液の場合は、そのまま大量の水とともに実験排水に捨てて良い場合もありますが、不明な場合は遠慮することなく知識のある人や教員などに確認してください。

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 (例1) 10%NaOH(水酸化ナトリウム)溶液の調製(100ml)

   1) 10%と書いてあるので、濃度は重量パーセント。つまり、90gの水に10gのNaOHを加える重さを量る天秤の種類に影響するので、いくつか精度の違う天秤がある場合は、有効数字を確認してください。

   2) ビーカーにメスシリンダーで90ml(=90g)の水を量り入れる。天秤の電源を確認し、消えていたらつける。水準器も確認。

   3) 2)のビーカー、薬包紙(試薬トレイ)2枚、薬さじ(スパテュラ)1本、NaOHの試薬ビンをかごなどにいれて天秤の近くに行く。手袋をはめるならここで。

   4) 天秤のゼロ合わせをしてから、薬包紙をのせ、NaOHのふたを開ける。NaOHには潮解性があるので、ふたを開けたら素早く作業する。なお、潮解性があるのでNaOHは粒状になっているのが一般的です。粒を何粒かザラザラと量り込んで、10.4gになったから、というので、一粒戻したら9.5gになり・・・というような作業を繰り返す必要もありません(むしろしてはいけません)。なぜだかわかりますか?

   5) 10gをすばやく量って、NaOHのふたを閉め、量りとったNaOHを水の入ったビーカーに少しずつ混ぜる。NaOHのついた薬さじの先があちこちに触れないよう、もう1枚の薬包紙の上にのせる。薬包紙でなくても、さじやピペットを置く台を活用したり、もうひとつビーカーを持ってきたりなどしても良い。かごなどに立て掛けるのもなまじ間違いではないが、倒れたりなどしないよう、注意する。量りとったNaOHの入った薬包紙を持ってうろうろしない。

   6) 完全に溶解しているか(=溶け残りがないか)を確認して、ふたができるプラスチックのびんに移し入れる。アルカリ溶液は、ガラスを溶かすことがあるので、ガラス瓶に入れてガラス栓をすると栓がとれなくなることもある。当日使い切る場合は、ビーカーのまま、ラップで覆って使うのも良い。いずれにしてもラベルを書く。ラベルには【試薬名】【試薬濃度】【調製日】【調製した人】【使用目的(場合による)】を書く。当日使い切るから、といって、ラベルを書かずに放置しない。実験の多くはグループで行うので、他の人にとってはビーカーに入った調製ずみ試薬が何なのかわからなくなる。

   7) 必要なら、NaOHの試薬ビンのふたのところにシーロンフィルム(パラフィルム)などを巻きつけて湿気が入りにくいようにする。

   8) 最後に天秤のまわりをぬれ雑巾などでさっとふき、手も水洗いしたら終わり。最初に手袋をはめている場合は外側が内になるように手袋をとり、捨てます。薬さじをのせた薬包紙がある場合は、それも手袋の内側に入れて捨てる。

【動画で確認】  文章で書かれていることを確認してください。悪い例と比較してみてどうでしょうか。

 

  (例2) 2N HCl(塩酸)の調製(60ml)

   1) HClの原液(HCl特級)は12Nだから、6倍希釈すればよい。60mlつくるので、10mlのHClに、50mlの水を加える。(1:5になるようにする)ラベルもあらかじめ作成する。そう簡単に変質しない2NのHClのような試薬は、必要量に合わせて計算しやすい量で作ることが多い。多めに作ると失敗しても大丈夫です。

   2) メスシリンダーで50mlの水を量りとる。もしくは、天秤で50gの水を量りとっても良い。ビーカーに入れる。

   3) メスピペットに安全ピペッターをつけて、水を量りとったビーカーを近くにおき、10mlのHClを量る。10mlのメスシリンダーでも量るだけなら量れるが、有毒ガスが拡散しやすく、シリンダーに強酸原液が付着して危険なので、メスピペットで作業する。また、3Lサイズの試薬ビンしかみあたらない場合は、100ml程度のふたができる試薬ビンにあらかじめ小分けしておくとよい。塩酸の原液を扱う時は、手袋と保護メガネをつける。ドラフトチャンバーがあれば、その中で作業する。そうでない場合は換気に十分気をつける。量りとった塩酸は少しずつ水の入ったビーカーに入れて混合する。汚れたメスピペットを入れるポリ桶も準備する。

   4) 塩酸の原液を採取したメスピペットは、ポリ桶に入れる。

   5) 調製したHCl溶液を試薬ビンにうつし入れ、ラベルをつける。まだ手袋ははめたまま。

   6) メスピペットを入れたポリ桶を実験排水のシンクに移動させ、手袋をはめたままの手で、流水で中の塩酸を洗い流す。ポリ桶も水洗いし、2NのHClを調製したビーカーも水洗いする。酸の水溶液を調製しただけのビーカーは基本的に水洗いできれいになるので、洗剤は不要。ここまでできたら、手袋を内に丸めこむようにして外して捨て、最後に塩酸を取り扱った場所の実験台まわりを軽くふいて終わり。

「10%」や「2N」のように大まかな濃度なら、メスフラスコを使わなくても良いが、中和滴定に用いるシュウ酸溶液のように、正確を期する溶液はメスフラスコを使う。

【動画で確認】 悪い例と下記の動画を比較してみましょう。ウインドウを2つ並べてみるといいかもしれません。


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