じゃがいものグリコアルカロイド

じゃがいもは校内菜園でも良く作られる野菜のひとつです。【粉質】の品種と【粘質】の品種があります。じゃがいもデンプン(市販品でいうと片栗粉)はアミロースが多く、ヨウ素反応で青紫色になります。もちとうもろこし(もちきび)デンプンだとアミロペクチン100%なので赤紫色になりますね。

粉質ほくほくしていて、ゆでると煮崩れたような状態になる。ポテトサラダやコロッケなどに向く。キタアカリ、男爵(だんしゃく)など
一般にデンプン含有量が多いのが粉質と呼ばれる品種です。よって、実習などでじゃがいもデンプンを採取したいなら粉質のじゃがいもを使うのがいいかもしれません。

粘質煮崩れないので、煮込む料理、カレー、肉じゃがなどに向く。メイクイーン、北海黄金(ホッカイコガネ)など。
やや粘質、という品種もあります。フライドポテト専用品種もあるのです。

最近では、カロテン含有量の多い品種、アントシアニンの多い品種など、カラフルな色のじゃがいもがあるようです

ヨウ素ヨウ化カリウム溶液の調製

250mlの水にヨウ化カリウム1gと固体ヨウ素0.3g

を溶解して原液とする。固体ヨウ素は水に溶けない

ので、ヨウ化カリウムを少し溶解する。原液は

遮光保存し、3-10倍に水で希釈しながら用いる。

うがい薬よりきれいに発色すると思います。

ヨウ素溶液を垂らしてでんぷんの有無

を確認する。

【じゃがいものアルカロイド】

ナス科の野菜には特有のアルカロイドがあり、多かれ少なかれ何らかの生理活性を持つものや生薬になるものが多いです。

ナス科ナス属のじゃがいもにはステロイド骨格を持つα-チャコニンα-ソラニンが含まれています。
これらはコリンエステラーゼ阻害作用があります。コリンエステラーゼはコリンエステル類を加水分解する酵素です。
農林水産省のWEBサイトによれば、可食部でも平均7.5mg/100gくらいのグリコアルカロイドが含まれています。
一般に取り除くように指示される緑化した部分だと、平均100mg/100gのグリコアルカロイドが含まれています。
成人の中毒発症量は200-400mgと言われているのですが、緑化した部分や芽ばかり食べないですよね。

一般的にじゃがいもに含まれているアルカロイドは調理したところでゼロになるわけではありません。
芽や緑化した部分をとることは一般に良く言われていることですが、可食部ならば中心部より皮に近い方が多いといわれています。皮にも含まれているといわれていますが、皮に関しては、皮つきのままゆでて、ゆであがってから皮をむくという場合もあれば、皮ごと調理して食べるという場合もあります。つまり、あまり気にしなくても大丈夫ではないかと思います。

グリコアルカロイドは熱には比較的安定なのですが、水溶性ですから、ゆでたり煮つけたりすることで溶出することもあるでしょう。市販惣菜として販売されているような皮つきフライドポテトなどもアルカロイド含量はゼロではありません。ただ、じゃがいもは植物でもあり、個体差(産地・品種・栽培条件・保存条件など)が大きいので、食中毒になるような事例は少ないのです。

じゃがいものアルカロイド中毒として事例が上がってくるのは、ほとんど教育現場です。

=小学校での食中毒事例=(平成23年2月の発生事例より)

症状:吐き気(100%)、おう吐(80%)、悪寒(40%)、倦怠感(20%)
患者数:5名
潜伏期間45分から1時間45分(平均1時間22分)
状況:収穫祭の予行演習で収穫したじゃがいもを塩ゆでして食べた

残品検査結果
(デジマやアンデスは栽培していたじゃがいもの品種で同じ日に収穫され、喫食中止物と同じように保存されていたもので、喫食中止物と同じような大きさのもの)

<検体> 喫食中止物 デジマ(生) アンデス(生)
重量(検体数) 135g(-) 520g(4) 275g(4)
平均重量(g/個)  - 104 68.75
α-ソラニン(A) 40mg/100g 6mg/100g 35mg/100g
α-チャコニン(B) 29mg/100g 11mg/100g 25mg/100g
GA(A+B) 69mg/100g 17mg/100g

60mg/100g

発症者の推定GA摂取量は34.5mg(小児推定発症量:15.6-40mg)

上記の表から、アンデスのGA量が多いことが判明した。収穫されたじゃがいもは、食べるまでの2週間、比較的明るいところに放置され、調査の時点で一部のじゃがいもに緑化が進んでいることが確認された。(じゃがいもの保存が不適切)また、子どもは中毒発症量が少ないのにもかかわらず、皮周辺部分を食べていた可能性が高い。

=出典1 食品衛生学雑誌、53(2)、J253-254、2012=

男爵やメイクイーンなど5品種のじゃがいもを90日間段ボール中で室温保存しても、グリコアルカロイド量は顕著に増加することはなかったようです(出典2)。が、保存によりあるアルカロイドが蓄積することもあります。たとえ日陰であったとしても、屋外で放置せずに、段ボールに入れて新聞紙をかけ、冷暗所に保存する必要があります。また、おなかをすかせた子どもたちに、大量の調理じゃがいもだけを与えたので調子が悪くなりやすかった・・・という場合もあるかもしれません。子どもの体調や摂食時の環境に配慮することも教員としては重要ではないかと思います。

出典2 ジャガイモ中のα-ソラニン、α-チャコニンの含有量および貯蔵中の経時変化 新藤哲也ほか 食品衛生学雑誌45(5)、277-282、2004

=まとめ=

じゃがいもは収獲したら、適切に保存する。

じゃがいもだけを食べるような状況の時には子どもの体調や環境に配慮する。


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